イソフラボンのチカラIsoflavone

イソフラボンって、なに? ―――大豆に秘められていた神秘の健康成分

大豆イソフラボンは、大豆に含まれる天然の成分です。

大豆に秘められていた健康の知恵

大豆イソフラボン(以下イソフラボンと呼びます)は、大豆に含まれる天然の成分です。
ご存じの通り大豆は「畑の肉」と呼ばれ、良質のたんぱく質をはじめ多くの栄養素を豊かに含み、やがて一人前に育ついのちを宿しています。大豆は何千年もの昔から、日本やアジア一帯の食文化には欠かせないものとして大切にされ、大事な行事や季節の節目に大豆を食べることが習慣としても大切に受け継がれてきました。
その大豆に、また一つ、貴重な健康成分が秘められていたのです。昔の人は、生活の知恵としてその有用性に気づき、行事に託して大豆食習慣を伝えてくれたのかも知れません。
大豆イソフラボンの存在自体は、相当以前・1930年代には知られていましたが、その構造や健康効果についての研究、応用開発は、1990年頃から世界中の注目を受けて加速度的に進歩してきました。

大豆の胚芽(胚軸)に含まれる貴重な成分

イソフラボンは、大豆の「えぐみ」成分の一つと考えられており、ダイズイン、ゲニスチン、グリシチンなどの成分の総称です。赤ワインで有名になったポリフェノール類の仲間で、フラボノイド群に分類されます。
イソフラボンは大豆の中にわずか0.2~0.4%程度しか含まれていない貴重な成分です。胚芽(胚軸)の部分に集中的に多く含まれているのが特徴です(約2%)。
イソフラボンは葛の根にも含まれ、アルファルファや赤クローバーにも認められるとされますが、日常的に摂取できる食材としては「大豆」だけといえます。
最近では、イソフラボンをはじめ体によい働きをする植物成分を総称して「フィト・ケミカル」と呼ばれて注目されていて、お目になさった方も多いことと思います。

イソフラボンは自然界のエストロゲン

エストロゲンの1,000分の1から10,000分の1

イソフラボンは私達の体内で女性ホルモンの「エストロゲン」に似た働きをします。そこから植物性エストロゲン「フィト・エストロゲン」とも呼ばれます。
イソフラボンは、エストロゲンの受け口であるエストロゲン・レセプターへの結合能を持つところから、女性ホルモン様作用を発揮するとみられています。
とはいっても、その効力は、エストロゲンの1,000分の1から10,000分の1とされ、大豆の天然成分ですから、体にやさしく、穏やかで安心な成分です。
エストロゲンはいろいろな働きをするホルモンで、女性に生理をもたらしたり、ふくよかな体つきや美しい肌を守っています。また、エストロゲンは骨からカル シウムが溶け出すのを抑える重要な働きをしていて、閉経などによるエストロゲンの減少が「骨粗しょう症」のリスクを急増させることから、高齢化社会を迎え てその対策が急がれ、エストロゲンの代わりの役目を果たすイソフラボンに注目が集まっているのです。

穏やかで不思議な漢方薬的な働き

拮抗作用

興味深いことに、イソフラボンはエストロゲンに似た作用をもっていてエストロゲンの代わりの役割を果たすと考えられるのですが、それとはまるで反対に、エストロゲンの働きを弱めるという拮抗(きっこう)作用ももっているのです(抗エストロゲン作用)。
「乳がん」などのホルモン依存性のがんではイソフラボンが過剰なホルモンの害を抑える働きをすることが分かってきました。
つまり、“自然界のエストロゲン”イソフラボンはホルモンの過不足を調整してくれるわけで、これが天然ホルモン様物質ならではの優れた特徴です。

数千年の食経験をもつ安心な自然食品

大豆は、日本をはじめ広くアジアで数千年の食経験をもち、毎日常食されている安心な食品

ご存じの通り、大豆は、日本をはじめ広くアジアで数千年の食経験をもち、毎日常食されている安心な食品です。最近の調査では、私達日本人はエネルギーの約3.4%、蛋白質の6.9%、カルシウムの12.3%を大豆とその加工食品から摂取しています(国民栄養調査2011)。
私達が実施したマウスによるイソフラボンの急性毒性試験では、経口投与できる最大量を投与しても死亡例はなく、体重や各臓器にも異常は認められませんでした。
また、ヒトによる介入試験の際に血液と尿の検査を行い、肝機能、腎機能に影響を与えないことも確認しています。

keyboard_arrow_up