創業以来、日本の食文化に寄り添い、お客様の健康で豊かな食生活に貢献してきた私たちフジッコは、今、大きな変革の時を迎えております。その変革の核となるのが、デジタルトランスフォーメーション(DX)です。
当社では、DXを通じて「サステナブル経営の実現」という大きな目標に向かって歩みを進めております。これまで取り組んできた業務プロセスの最適化による「DX1.0」から、デジタル技術を活用した新たなビジネス価値の創造を目指す「DX2.0」へと、着実に進化を遂げております。
デジタル技術の活用は、単なる効率化が目的ではありません。私たちが目指すのは、お客様との新しい関係性の構築であり、データに基づく迅速な意思決定の実現であり、そして何より、従業者一人ひとりが生き生きと働ける職場環境の創出です。
この変革の波の中でも、私たちは「ヒト」を中心に据えた経営を貫きます。デジタル技術は、私たちの判断や創造性を支援する道具であり、決してそれに置き換わるものではありません。全従業者が共通の価値観でつながり、一人ひとりの個性が尊重される組織づくりを進めてまいります。
フジッコは、食品メーカーとしての確かな技術と時代に合わせて変革し続ける企業として、持続可能な成長を実現するとともに、伝統と革新を融合させながら、新たな価値創造に挑戦できる環境づくりと仲間づくりを同時に進めてまいります。
フジッコのDXの目的は「サステナブル経営の実現」です。データを活用した業務効率化の推進により経営課題を解決するとともに、デジタル導入の成功をもって誰一人取り残さない企業能力改革を実践します。
※戦略的コスト最適化とは、サステナビリティ目標に取り組み、コスト効率を維持しつつ、変革に向けた成長を支える投資の勢いを回復させること。
フジッコでは、経営課題に対応するため、DXを体系的に推進するための独自戦略として、「フジッコDXサイクル」を策定しています。
この戦略は、DX1.0とDX2.0という2つのサイクルで構成され、①~⑥のデジタル共通価値指標を定め、企業価値の向上を目指します。
既存業務を抜本的に見直し、価値を生まない定型業務の廃止とデジタル技術による自動化を進め、付加価値を生み出す業務時間を創出し、従業者の業務満足度を向上。
社内外の情報をデジタル技術で「繋ぎ⇒最適化⇒利活用」することで、サービス向上と既存事業の売上拡大、顧客満足度を向上させるため、新たなデジタルビジネスを創出。
社長執行役員を委員長とするDX推進委員会を発足し、DX戦略実現のために各部門のDX推進メンバーが主体的に取り組む形で、部門横断的に全員参加の組織形態で意欲的な改革に取り組んでいます。各部門のDX推進メンバーは、専門的な知識と経験を活かし、DX課題解決に向けたリーダーシップを発揮しながら、組織全体での協力を推進しています。
情報共有とオープンシェアの文化醸成のために、成功事例やノウハウ・プロセスといった現場で生まれる情報をSFAツール※1で活用促進を実施しています。個人のノウハウや商談成功事例を組織全体で共有し、相互研鑽による営業力の向上や他本部と知識の共有も進めています。これらの取り組みにより、個人の成功体験を組織の財産として活用し、営業部門全体の競争力強化を実現しています。
職人気質の高い商品開発業務にSaaSツール※2を導入し、開発業務の標準化と商品情報を一元管理できる環境を構築しています。
これまでは商品情報が個人単位で管理され、開発に関するナレッジやノウハウが共有されていませんでした。SaaSツール導入により、必要な情報を統制し、開発の過程で得られる知見の蓄積を行い、商品開発のスピードと担当者のスキル向上に取り組んでいます。
生産活動で発生する情報をデジタル技術を用いてデータ化するため、業務プロセスを見直し、改善活動に必要なデータを選定しています。このデータを可視化することで、業務のスピードアップを図っています。
現状は、帳票の電子化ツールを使ってデータ化するプロセスを構築していますが、今後はその改善効果を定量的に評価し、現場がその成果を実感できる環境づくりを進めていきます。
Excelで集計された表形式から脱却し、BIツール※3を利用し、ビジュアライズされたダッシュボードにて、現状把握・意思決定のスピードアップを目指しています。現在は、BIツールの活用スキル向上に向けた推進活動を行い、基幹システムからの財務情報や営業活動を連携することで、データの収集や集計するために発生するExcelバケツリレーから脱却し、関係者が同じダッシュボードで判断・意思決定できる環境を構築しています。
また、DX推進に加えセキュリティの強化にも注力しています。
企業の持続的な成長を支えるために、変化への適応、生産性向上、人財育成など全社的なDX戦略の立案と実行及び支援を行います。
各本部のDX部門と連携して業務課題を吸い上げ、全社戦略に反映させることで、フジッコ全体のDX推進を計画的かつ確実にコントロールしています。
※1 SFA(Sales Force Automation)営業活動の効率化を図るために、顧客情報や商談の進捗を管理するシステム
※2 SaaS(Software as a Service)インターネットを通じてインストールや管理不要でソフトウェアを簡単に利用できるサービス
※3 BI(Business Intelligence)データを分析し、視覚的にわかりやすく表示することで、意思決定をサポートするツール
DXの推進には「ヒト」が最も重要であると考え、これからのDXを担う人財の発掘と育成を開始しました。
当社が求めるDX人財とは、データを活用し、変革を推進できる人財です。
2022年にDX適性を可視化する「DXアセスメント」を希望者に実施することで、個人のDX(プロジェクト)への適性を把握し人財発掘を行いました。その結果をもとに、従業者一人ひとりの弱点をさらに補ったり、長所をより伸ばせるようにフジッコ独自のカリキュラムを設計したオンライン動画教育の実施を通じてデジタルリテラシー基礎知識の習得を進め、生成AIワークショップ※1により実践的なデジタルリテラシー向上に取り組みました。
また、各部門独自の教育として、ビジュアルアナリティクス研修※2を開催するなど様々な形の教育も実施しています。
今後もフジッコが目指すDX推進において異なる世代の強みを活かしてデジタルと伝統の相乗効果を生み出すために、教育プログラムの企画立案や環境整備を進めていきます。
そして、フジッコの将来ニーズを充足できるのは、今日の従業者であるとの確信をかつてないほど強めている状態を目指します。
※1 生成AIワークショップ
※2 ビジュアルアナリティクス研修