フジッコでは、遺伝子情報を活用した(※)丹波黒系統の判別技術、微量成分分析による国内産と中国産の原産国判別技術の開発を行っています。確かな品質と科学的データに基づいたあんしんをお届けします。
※:丹波黒系統・・・府県の各農業機関で種子管理が行われている系統。フジッコではこれらを判別の基準としています。
もちろん、フジッコあんしんシステムにより、遺伝子組換えや残留農薬の自社検査も行っています。
「丹波黒」は、長い栽培の歴史の中でそれぞれの地域の環境条件に適応したさまざまな系統があると考えられています。
しかし、近年では、府県の各農業機関および産地で種子の管理、増殖、農家への配布が進められています。フジッコでは、それらを「丹波黒系統」としています。
「丹波黒」は品種名であり、原産地を示すものではありません。
兵庫県、京都府、岡山県が主要産地ですが、その他の府県でも作付が行われています。(農林水産省生産局農産振興課調べ)
品種名に地域名が含まれる農作物には「あきたこまち」、「野沢菜」、「守口大根」、「九条ネギ」など多くのものがあります。
江戸時代以前 | 川北地方(現在の篠山市川北)にて丹波黒が誕生(?) |
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寛政11年(1797) | 「丹波国大絵図」に黒大豆が丹波国名産品として登場 |
江戸時代 | 「川北黒大豆」の名で江戸幕府へ献上され、江戸中に広まる |
江戸~明治 | 日置村(現在の篠山市日置)の豪農波部六兵衛らが優良な黒大豆を選抜 「波部黒」として栽培を奨励 |
明治時代 | 波部黒が宮内省へ納入、より名声が高まる |
明治34年 | 多紀郡(現在の篠山市)農会が創立 |
昭和9年 | 多紀郡農会が「丹波黒大豆生産出荷組合」を組織し、「川北黒大豆」と「波部黒大豆」を「丹波黒大豆」と統一 |
昭和16年 | 兵庫県農事試験場が在来種(波部黒)を取り寄せて品種特性試験を実施し、「丹波黒」と命名して奨励品種に指定 |
昭和56年 | 京都府農業総合研究所にて京都府産の丹波黒から優良種子を選抜し、「新丹波黒」と命名 |
平成元年 | 兵庫県北部農業技術センターが波部黒から優良種子を選抜し、「兵系黒3号」と命名 |
昭和9年からの名残で流通上は「丹波黒大豆」だが、品種名としては昭和16年に命名された「丹波黒」である。
丹波黒には昔から各地で栽培されてきた在来種系統と「新丹波黒」「兵系黒3号」などの系統が存在する。
出典
曳野亥三夫、わが国における食用マメ類の研究 第8章 流通加工 7.ダイズ丹波黒の産地形成、総合農業研究叢書、44、521-525
(2003).
福西務、産地の研究室から/地域ブランドを育てる (3)大豆(丹波黒)、植物防疫、49、523-524 (1995).兵庫県、丹波黒、1-7 (1998).
フジッコでは、食品の偽装表示問題が後を絶たない中、丹波黒においてもその遺伝的系統が疑われる原料や原産国が疑われる原料の科学的な判別を行うため、2002年から神戸大学、兵庫県立農林水産総合技術センター、独立行政法人農業・食品産業総合研究機構食品総合研究所、独立行政法人農林水産消費技術センターなどとの共同研究を行ってきました。
その結果、「遺伝情報を活用した丹波黒系統の判別」、「微量成分分析による丹波黒の原産国判別」技術を開発し、フジッコが使用する原料の確認に活用しております。この技術は、お客様に対する信頼をいただくと共に、優良な丹波黒を生産する農家の方々にも有用なものであると私たちは考えています。
「丹波黒」は、種皮色が黒色で表面にロウ粉(白い粉)が吹き、形状が正球に近いことが特徴とされる大豆ですが、丹波地域を発祥とする(※1)在来種であるため、必ずしも遺伝的には単一ではないと考えられてきました。
しかし、近年では、(※2)府県の各農業機関および産地で種子の管理、増殖、農家への配布が進められています。
フジッコでは、大豆のSSR( Simple Sequence Repeat:単純反復配列)と呼ばれる遺伝子の特定部分を解析することによって、府県の各農業機関および産地で種子管理が行われている系統(フジッコ基準の「丹波黒系統」)とその他大豆との遺伝的近縁関係を判別する技術の開発を行いました。
※1:在来種は古くから各地域において栽培され、今日まで存続している品種です。これに対して、育成品種と呼ばれるものは、人為的選抜を加えて改良された品種で、基本的には遺伝的に単一のものです。
※2:府県の農業機関・・・
京都府農業総合研究所
岡山県農業総合センター農業試験場
兵庫県立農林水産技術総合センター
「多くの農作物は、栽培された土地の土壌成分の特徴を持っています。
丹波黒の種子に微量に含まれる無機元素組成(アルミニウム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ストロンチウム、バリウムなど)を誘導結合プラズマ発光分析法(ICP-AES)などで測定することで、中国産と国内産を判別する技術の開発を行いました。同様の方法は、ネギ、梅干し、乾しシイタケ、タマネギなどの産地判別技術で応用されています。