昆布ミネラルでネパールの人々を支援Iodine

日本人だから、フジッコだからできることがある。

昆布ミネラルでネパールの人々を支援

ネパールで国家的保健問題となっている「ヨード欠乏症」。その根絶に尽力する熱田(あつた)親憙(ちかよし)先生を、フジッコは2002年から「昆布ミネラルカプセル」の無償提供で応援してきました。

ヨード欠乏症って?

「ヨード欠乏症」とは、慢性的なヨード摂取不足により甲状腺が機能不全を起こす病気です。
のどのあたりにこぶのような腫れ物ができる「甲状腺腫」と、甲状腺ホルモンの分泌不全で心身の障害をきたす「クレチン症」の2種類の症状が主に見られます。
これらを総称してヨード欠乏症といい、世界的にはIDD(Iodine Deficiency Disorders)のことばで使われています。

ヨードは海藻類に多く含まれます。海藻を日常的に食する日本ではこの病気はほとんど見られませんが、内陸地帯や山岳地帯では、ユニセフがその対策に乗り出すほど重大な保健問題となっています。自給自足の農村地帯が多く、険しい山々に囲まれた集落の多いネパールでは、特に重症患者が多いことで知られています。

全世界では7億人以上が罹患(りかん)し、リスク人口は16億人とも20億人ともいわれています。

ヨード欠乏症との出会い

「海外ボランティアをしていた娘が、ネパール人青年と結婚し、生まれた孫が一過性のヨード欠乏症にかかったのが、ネパールで支援活動する縁になった」という、熱田先生。

ヨード欠乏症に関わるようになってからは、世界のヨード不足問題とその病状を知り、ネパールでの研究と支援活動を決意することに。そしてお孫さんは、3年にわたるホルモン補給・注射の結果、自力での甲状腺ホルモン分泌もされるようになり、ひと安心。その安堵と感謝の気持ちが、ネパールでの支援活動の計画実施に拍車をかけました。

自力で起き上がることのできなかったスリージャン君。天気のいい日は庭で寝かされて一日を過ごしていた。

なぜ「昆布ミネラル」?

ネパールでは、国が主導してヨードを添加した塩の摂取を勧めていますが、輸送手段の乏しさ・保管状態の悪さ・現地の嗜好に合わない味・病気への認知不足などが要因となって、あまり成果が見られていないとのこと。そこで熱田先生が目をつけたのが、ヨードが豊富で成分が劣化しにくい日本の「昆布」でした。

しかし、もともと海藻になじみの薄いネパールの人々には、その食感と風味はなかなか親しんでもらえません。さて、どうやって食べてもらおうか......熱田先生からの相談を受けたフジッコは、独自技術で昆布エキスを抽出し粉末にした業務用製品「昆布ミネラル」をおすすめしました。これをカプセルに詰め、お薬のように飲んでもらえばどうか、とご提案したのです。

ヨードの薬というのは以前から存在しましたが、ヨードチンキのような化学的なものがほとんどで、効き過ぎや副作用が懸念されていました。しかしフジッコの「昆布ミネラル」は天然成分そのものなので、体にやさしく自然に吸収されやすいのです。

スリージャン君の奇跡

母親がヨード欠乏症を抱えていると、生まれてくる子どもにも影響することがあります。チョウタラ村のスリージャン君(12歳)もそんな子どものひとりです。
彼は生まれつき手足の力が弱くて自力で起き上がることができず、さらに耳と言葉が不自由でした。ヨード不足が原因で成長ホルモンがきちんと分泌されない「クレチン症」の疑いがありましたが、そのような知識のない家族は脳性マヒだと思い込み、ずっと寝たきりの生活を送らせていました。

2001年、熱田先生はまだ6歳のスリージャン君と出会い、昆布ミネラルカプセルの摂取を強く勧めました。体質が固まってしまった成人よりも、まだ柔軟な子どもの方がヨード摂取療法の効果が期待できることを熱田先生は確信していたのです。
1日たったの1カプセル。150ミクログラムの昆布ミネラルを毎日飲みつづけたスリージャン君は、熱田先生との再会を果たした2007年1月、みごと自分の力で起き上がる姿を見せてくれました。まだ移動には車椅子が手放せませんが、これからの成長ぶりに期待が持てます。

また他の成人の患者については、体調改善を自覚できる人が半数の割合(サンプルが少数ですが)であり、一定の成果が得ることができました。

スリージャン君と熱田先生。この車椅子は、ベンチを改造した手造りのもの。

妊婦さんにヨードを!

スリージャン君の結果を受け、熱田先生は新たな光を見いだしました。生まれる前、つまり妊婦さんにこの昆布ミネラルを摂取してもらえば、ヨード欠乏のない子供として生まれ、健全な成長を遂げられるのでは...?今、熱田先生は、現地の大学・病院をも巻き込み、妊婦への昆布ミネラルカプセル摂取試験の実施に向けて奔走しています。

フジッコは引き続き、昆布ミネラルカプセルの無償提供で、熱田先生、そしてネパールの皆さんを支援します。

昆布ミネラルを飲みつづけ、ついに自分で起き上がれるところまで回復した。自慢げなスリージャン君の表情と、背後で見つめるお母さんの笑顔がすべてを物語る。

熱田親憙(あつたちかよし)先生

三洋電機退社後、関西国際大学教授を経て現在、関西学院大学非常勤講師。
講演・執筆・マーケティングコンサルタントなど多方面で活躍中。
長女がネパール人男性と結婚したことでネパールが抱える社会問題を知り、支援ボランティア活動へ精力的に参画する。また、画家としての一面も持ち、情感あふれる水彩画を次々と発表。作品はインターネットでも購入でき、売上はネパール支援活動資金にあてられている。

詳しくはhttp://www.atsuta-garo.com/neparl1.htmまで。

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