フジッコ株式会社

FUJICCORECRUIT 2025

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Project Story 01

時代やニーズを反映し、
商品の価値を未来へつなぐ。
カスピ海ヨーグルト
リニューアルプロジェクト

PROJECT MEMBER

開発本部 マーケティング部

紀井 孝之 / Kii Takayuki

1993年入社/経済学部卒

開発本部 マーケティング部

敷田 加寿美 / Shikita Kasumi

2007年入社/経済学部卒

生産本部 資材部

稲角 友輔 / Inazumi Yusuke

2012年入社/芸術学部卒

商品の独自性と売上に
あぐらをかいているわけにはいかない。

フジッコがリリースしている主力商品のひとつ「カスピ海ヨーグルト」。クレモリス菌FC株が生み出す独特のねばり、北海道生乳を100%使用したまろやかさなど、他のヨーグルトにはないオリジナリティが好評を博し、フジッコで1・2を争う売上を誇っている。

本商品のルーツとなるヨーグルトを最初に日本に持ち込んだのは、フジッコと大豆イソフラボンの共同研究を行っていた家森幸男(やもりゆきお)教授。1986年、ジョージアから持ち帰った家庭用ヨーグルトを「もっと多くの人に届けたい」との想いから、2002年にNPO法人「食の安全と健康ネットワーク」とフジッコに菌の培養と頒布を依頼。フジッコは事業としてではなく、事業協力という形で培養と頒布を手掛けることになった。

最初は通信販売のみを行っていたが、百貨店で限定販売したのをきっかけに大ヒット。「もっと買いやすくしてほしい」と要望を受け量産に踏み切り、2005年からスーパーなどでも取り扱うように。その後、NPO法人「食の安全と健康ネットワーク」からすべての頒布事業を引き継ぎ、2006年にカスピ海ヨーグルトの製造・販売を事業化。売上は右肩上がりを続け、フジッコの看板商品として定着した。
しかし、市場では数多の乳業メーカーが日夜研鑽に励んでいる。2017年までカスピ海ヨーグルトのブランドマネージャーを務めていた紀井は「このままではいずれ売上が頭打ちになってしまう」と危機感を抱いていた。「2016年の時点で商品のリニューアルが決まっていたので、これを機にお客さまの声を再調査し、より市場に求められる形に商品を再構築することになりました(紀井)」。

ユーザーの意見・行動を分析し
課題の本質を暴き出す。

「お客さま相談室に寄せられた意見を再調査すると『商品を持ったときにフタが外れて落としてしまうことがある』『時間と共にフタが閉まりにくくなる』といった声が多いことに気付きました」。そう話すのは、企画担当としてリニューアルに携わった敷田だ。当時のカスピ海ヨーグルトは紙の容器だったため、冷蔵庫で長期間保存すると水分を含み変形することが問題の原因だと判明。

さらにお客さまに許可をいただき、冷蔵庫にカメラを設置し行動観察を行ったところ新たな事実に気付いた。「商品を冷蔵庫から出すときに、フタと容器本体を包み込むように持つ人が圧倒的に多かったんです(紀井)」

「その要因は、フタが外れやすいことがひとつ。もうひとつは、本商品のメインユーザーである女性や握力が弱いシニアの方にとって、当時の円形の容器が持ちにくいことによるものでした(敷田)」。このふたつの問題点を受けて、容器を紙から水分に強い材質に変更することを決定。「材質を変更すれば、水分を含み変形する問題点が解消できます。かつ、密封性が高まり、商品独自のねばりや風味を、従来よりも長期間保てるようになります(紀井)」。
持ちやすさの改良にもこだわった。「容器の形は、それまでの円形から楕円形に変更し、かつ、女性の手のサイズにフィットするよう容器の中央にゆるやかなくぼみを付けました。材質や形状を決定するまでには試用テストを実施し、検証を重ねました。そうして、器の変形や持ちにくさなどの課題は解決することができたと思います。(敷田)」。

商品の強みやオリジナリティをいかにビジュアライズしていくか。

リニューアルに伴ってパッケージデザインの変更を手掛けたのは、当時デザイングループに所属していた稲角だ。「私は主にデザインの大まかな方向性の決定と、外部のデザイン会社のディレクションを担当しました(稲角)」。それまでは、「カスピ海ヨーグルト」のパッケージデザインでは「生乳100%」を一番に訴求していたが、商品が市場に浸透するにつれて、消費者は「ねばり」を一番の魅力だと捉えるようになっていた。「それもリニューアルに際しての再調査で判明したことです。パッケージデザインも、ねばりを打ち出す方向性にすることが決まりました(稲角)」。
パッケージ中央のくぼみの部分に、ヨーグルトのねばりがひと目でわかる意匠をあしらい、その隣に金色で「ねばりのチカラ」と表記。全体の色味に関しては、最初はブルーで統一する案もあったが、最終的には容器中央のくぼみを境に左側をブルー、右側をホワイトでカラーリング。さらに容器の加工にも工夫を凝らした。「紙よりも材質が堅い素材にデザインを反映すると、デザインが硬質でメカっぽく見えてしまいがちです。その問題を解決するためにマット加工を施し、デザインに柔らかさと温かみを持たせました(紀井)」。
数十ものデザイン案の中から取捨選択を重ね、消費者調査で一番好評だった今のデザインが正式に採用されることになった。「社内や外部のデザイナーと幾度となく協議を重ねました。その苦労の甲斐あって、うまくねばりを訴求しながら、各要素に一本芯が通った素晴らしいデザインになったと思います(稲角)」。

ひとつの成果は、
新たな挑戦へのスタートライン。

容器の変更の検討を開始したのが2016年5月。2017年2月に常務会で大枠の承認を得るまで、実に1年近くの月日を要した。「承認後はさらに消費者調査を繰り返しながら、外部の資材会社やデザイン会社と細部を詰めていきました(稲角)」「それと並行して容器のラインテストを行い、生産部門のメンバーの協力を得ながら都度発生した課題を改善。2017年9月にようやくブランド戦略会議で承認を得ることができました(敷田)」。

リニューアルに伴い、テレビCMをはじめとするプロモーションも「ねばり」を強く打ち出す方針に変更。2018年3月の発売開始後、容器やデザイン、プロモーションの変更による成果はすぐさま表れた。「商品の売上が5%押し上げられる結果となりました。リニューアルでこれほど売上が伸びるのは非常に珍しいことで、リニューアル戦略が功を奏した証でもありました(紀井)」。

しかし、現状に満足するわけにはいかいない。いくら商品単体のクオリティが高くても、そこは必ず他社との比較になる。消費者に選ばれ続けるために、これからも「カスピ海ヨーグルト」をはじめフジッコの商品に関わるすべての社員は、より良い商品の実現にチャレンジし続ける。

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時代やニーズを反映し、商品の価値を未来へつなぐ。

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