和食文化国民会議presents

ふじっ子ちゃんの「全国和食探訪記」

秋田県 雪深い風土生まれいぶりがっこ 取材地:秋田県湯沢市

訪れたのは秋田県湯沢市。
秋田県の南に位置し、県内でも有数の豪雪地帯のこの地方で生まれたのが全国的に認知度の高い秋田を代表する郷土食「いぶりがっこ」です。
秋田県では漬物を「がっこ」と呼び、秋田の長い冬の貴重な栄養源として重宝されており、秋田で育まれた様々な発酵文化の中でも代表的な食材です。

秋田の家庭の味「いぶりがっこ」

奥羽山脈の麓、四方を山に囲まれたこの地方では、冬の日照時間が短いため、漬物にする大根を家の中の囲炉裏の上で干されていました。この大根を漬けた「燻り(いぶり)漬け」は、他の漬物には無い独特の風味と美味しさを醸し出し、この地方の家庭の味として親しまれてきましたが、かつてこの味が囲炉裏と共に徐々に消えゆく時期がありました。昭和30年代ストーブの普及で姿を消した囲炉裏と共に・・・。
先人達の知恵によって受け継がれてきた素晴らしい郷土食である「燻り漬け」を再興し、秋田の代表的な郷土食「いぶりがっこ」として全国的に認知・発展させたのが、今回取材に訪れた「雄勝野きむらや」です。
今日は、社長の木村吉伸さんに工場を案内いただき、製作工程やいぶりがっこへの思いについて色々とお話をお聞きしました。

いぶりがっこができるまで

いぶりがっこに使われる大根は、この地で古くから栽培されてきたいぶり漬けに最適な白首の地大根です。現在主流となっている青首大根に比べ、苦味や辛味が強く生食には向かないため、地元の農家の方々の協力を得て契約栽培をされています。
8月から9月に種まきをして10月から12月に収穫した大根を翌日の夕方までに燻煙の火入れができるよう手早く編み込みを行います。
鮮度が命のいぶりがっこでは、鮮度を落とさないよう手早く丁寧に作業を行うことが重要で、すだれのように編み込みされた一綴り10キロにもなる大根の束を掛け声と共に丁寧に天井に吊り下げていきます。

▲雄勝野きむらやさんの工場にやってきました。木村さん、今日はよろしくお願いいたします。

▲いぶりがっこに使われる地大根の白首大根と一般的に普及されている青首大根を見比べてみました。

▲編み込みを行う部屋では従業員の皆さんが黙々と作業を行っています。

▲収穫した大根は大きい順に並べ、手早く丁寧に編み込まれます。

▲編み込みが終わった大根。

▲編み込まれた大根は焚き木干し小屋につり下げられていきます。

▲焚き木干し小屋は7棟あり、計画的に焚き木干しされるそうです。

ここからよく乾燥させた焚き木を使って、当日の気温や湿度、大根の質などの諸条件によって火加減を調節しつつ、4~5日間絶やすこと無く燻し続けます。
しんなりとムラなくキツネ色に干しあげるには長年の経験と熟練の技が必要で、ナラや桜、ケヤキなどの広葉樹を乾燥させた焚き木を使用することで、渋味の無い甘く香ばしい香りが大根を包み込み、独特の風味が生み出されます。干し上がった大根は、その日のうちに塩とザラメを加えた米ぬかに手早く丹念に漬け込まれますが、きむらやさんでは無添加にこだわり、余計な物をいれないことで焚き木干しの香りが損なわれずに素朴で自然な風味の「いぶりがっこ」なるそうです。
あとは自然の力に任せ、ゆっくりと発酵が進むのを待ち、数ヶ月後に樽がこぽっ…、こぽっ…、と合図の音がすれば完成です。

▲焚き木干し真っ最中の小屋。扉を開けると煙と燻製のいい香りが広がります。

▲よく乾燥した桜の丸太の焚き木をその日の天候に合わせて調整し、燃やし続けるそうです。

▲焚き木干しを終えた大根。いいキツネ色になってます。

▲漬け込みは大きい大根から下に並べていくことですべての大根が均一に漬け込まれるそうです。

▲丁寧に大根を並べたら、塩、ザラメ、米ぬかを均一に撒いていきます。

▲その上に、また大根を丁寧に並べていきます。これを繰り返し、一つの樽に約1,200本の大根を並べていきます。

▲樽の上に300~400キロの重さの石を置き、水分が出るのを待ちます。

▲大根からいい具合に水分が出ています。

▲あとは熟成を待つのみ。冷蔵庫で出来上がりを待つ樽たち。

▲二ヶ月の熟成を経て完成したいぶりがっこ。

いぶりがっこが出来るまで

(1)大根の栽培と収穫:

原料となる大根には、この地で古くから栽培されてきた白首の地大根を使います。
真白でスラッと長い地大根は、身が締って固く、辛すぎるため生食には向きませんが、風味、歯応え共に、いぶり漬けに最適な大根として珍重されてきましたが、現在は青首大根が作付けの主流であるため、地元農家の方々との契約栽培によって収穫されています。
8月から9月初旬にかけて種まきを行い、10月~12月初旬にかけて収穫されます。

(2)編み込み:

大根の鮮度がいぶりがっこの味に大きく影響するため、畑で収穫された翌日の夕方までには、焚き火干しをしなくてはなりません。焚き火干し小屋に吊り下げられるよう8本~10本を手早く丁寧に紐で編み込みます。

(3)吊り下げ:

大根の鮮度を落とさないように、段取り良く、手早く、ひと綴り10キロにもなる編み込みされた大根の束を、天井につり下げていきます。

(4)焚き火干し:

よく乾燥させた、ナラ、桜、ケヤキ等の広葉樹の焚き木を使用することで、渋味のない甘く香ばしい香りが大根を包みます。 この燻煙作業は、当日の気温や湿度、大根の質などの諸条件によって火加減を調節するなど、熟練の技を要する作業になります。火加減にメリハリをつけながら4日~5日間絶やすことなく燃し続けます。

(5)漬け込み:

干し上がったキツネ色に染まった大根は、その日のうちに米ぬかと塩、ザラメを加え、手早く丹念に漬け込まれます。保存料、着色料、合成甘味料、酸化防止剤、調味料(アミノ酸等)を使用しないことで、焚き木干しの香りを損なわず、素朴で自然な風味のいぶりがっこになります。

(6)熟成:

粉雪の舞う冷気が漬け屋を包み、発酵がゆっくりと進むのを待ちます。墨絵のような、静かで真っ白な景色の中で、いぶりがっこの美味しさが育まれていきます。
数ヶ月の後、樽が、こぽっ…こぽっ…と音を立てると完成の合図です。

いぶりがっこの風味が引き立つアレンジ料理


香りと食感が食欲をそそる

工場を見学後、丹念に時間をかけて作られた「いぶりがっこ」のおすすめの食べ方を教えてもらいました。 いぶりがっこチーズ、いぶりがっこのクリームチーズカナッペ、いぶりがっこの生ハム巻き、いぶりがっこのチャーハンと、どれも「いぶりがっこ」の風味が引き立つ美味しさで、「いぶりがっこ」の新たな魅力を発見し大満足でした。

▲工場見学後、きむらさんのご自宅でいぶりがっこをご馳走していただきました。

▲いぶりがっこのアレンジ料理も作っていただきました。簡単、いぶりがっこチーズ。

▲相性抜群のいぶりがっこのクリームチーズカナッペ。

▲お酒のおつまみにもピッタリのいぶりがっこの生ハム巻き。

▲香りと食感が食欲をそそるいぶりがっこのチャーハン。

▲木村さん、今日はありがとうございました。

秋田県のイチオシ食材

秋田県は、良質な食材を活用した様々な郷土料理があり、古くから「食の宝庫」と呼ばれてきました。
日照時間の短い冬の期間が長いことから、保存のきく発酵食品などが多いのが特徴で、麹を多用する味噌、醤油、漬物、日本酒の他、納豆やしょっつる等幅広い発酵食文化が発展してきました。
今回、秋田県大阪事務所、秋田うまいもの販売課、農業経済課販売戦略室の皆様ににご協力いただき、秋田が誇る特産品をご紹介いただきました。

▲比内地鶏
日本三大美味鶏の一つとされ、適度に歯ごたえがある赤身の肉質と、黄色を帯びた上質な風味の脂は、噛むほどに味とコクが際立ちます。
秋田の郷土料理きりたんぽ鍋には欠かせない食材で、焼き鳥や親子丼も絶品。
「秋田県比内地鶏ブランド認証制度」により、特定JAS基準より厳しい基準で認証されています。

▲秋田紅(べに)あかり
秋田県は昼夜の寒暖差が大きく、糖度が高く食味の良いりんごを生産できる条件が揃っています。県オリジナル品種の「秋田紅あかり」は、鮮やかな赤色に星が散りばめられたような外観で、酸味が少なく際立つ甘味が特徴です。

▲青豆のドラジェ
秋田県産の枝豆「あきた香り五葉」をフリーズドライし、一粒ずつベルギー産ホワイトチョコレートでコーティング。一粒一粒大切に食べたくなる幸せのドラジェは、香り高く、豆の和テイストと洋菓子の甘さが口の中に広がります。

▲いちじく甘露煮(山ぶどう仕立て)
水を使わずに砂糖と水飴だけで飴色になるまで煮込んだいちじく甘露煮を地元鳥海山麓の山ぶどう果汁と寒天で仕上げることでさっぱりとした味わいにしました。2017年の秋田県食のチャンピオンシップで金賞を受賞した味わいをぜひお楽しみください。

秋田県の特産品については、下記のサイトをご覧ください。

マルシェ・アキタノ

マルシェ・アキタノ

取材協力:
株式会社雄勝野きむらや 木村吉伸樣
秋田県観光文化スポーツ部 秋田うまいもの販売課 畠山秀樹樣
秋田県農林水産部農業経済課販売戦略室 進藤晶様
秋田県大阪事務所 佐々木重夫樣 柿崎幸樣
企画・制作:フジッコ株式会社

これまでの全国和食探訪記

和食文化国民会議 楽しい・おいしい食卓を提案する健康情報誌BeansLife

「ふじっ子ちゃんの和食探訪記」は一般社団法人和食文化国民会議(通称:和食会議)の賛同企画『和食会議PRESENTS』として公開しております。
また、ビーンズライフに誌面提供しております。