05低温で発酵が進む

手作りヨーグルトで心と身体の
健康をサポート!
高齢者の精神的・心理的フレイル改善編

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手作りヨーグルトはフレイル対策の一助になる!?

超高齢社会を迎えた日本において、健康寿命を延ばすことは最重要課題の一つです。そして、課題解決のためのキーワードとして注目されているのが、「フレイル予防」です。
フレイルとは、加齢によって運動機能や認知機能などが低下している状態で、健康な状態と要介護状態の中間に位置します。適切な治療や予防策によって要介護状態になることを防げる可能性が高いため、この段階での予防がとても重要です。

フレイルは、筋力低下などの身体的要因、認知症やうつなど精神的・心理的要因、独居や経済的困窮などの社会的要因の 3 つが相互に影響し合って悪化していくと考えられています。予防には、それぞれの要因に合ったアプローチが必要ですが、中でも精神的・社会的要因は、個人差が大きいことから、統一的な方法では解決しないことも多い、と言われています。

精神的・社会的要因へのアプローチを考える上では、高齢者が自分から取り組めるように、日常生活の中で取り入れやすいものであることが重要です。
そこで、高齢者が日常的に食べやすい「ヨーグルト」に着目し、ヨーグルトを手作りすることが、フレイルの精神的・心理的要因への対策として活用できるかどうかを調べました。

試験では、手軽に自宅でヨーグルトを作れるようにするために、室温で発酵できる「カスピ海乳酸菌(クレモリス菌FC株)」を使用しました。

ヨーグルトの手作りで、精神的なQOL ※1のスコアが向上

本試験は、65 歳以上の高齢者24人を対象に行いました。対象者全員に8週間、「カスピ海乳酸菌」を使ったヨーグルトを手作りしてもらい、試験開始前と後にアンケートを実施し、健康関連QOLの変化を調べました。その結果、ヨーグルトを手作りすることで、「身体機能」「全体的健康観」「活力」「日常役割機能(精神)※2」のスコアが改善したことが分かりました。さらに、精神面に関する総合評価のスコアも良くなりました(図1)。

◆「カスピ海乳酸菌」を用いたヨーグルトの手作りによる健康関連QOL 指標の改善

下位尺度のグラフ
サマリースコアのグラフ
  • 対象者:65歳以上の高齢者24名
    健康関連QOLはSF-8調査票を用いて調べました。SF-8は疫学調査などで国民的に広く使用されている健康関連のQOLを評価するための調査票で、8つの尺度(①身体機能、②日常役割機能(身体)、③体の痛み、④全体的健康感、⑤活力、⑥社会生活機能、⑦日常役割機能(精神)、⑧心の健康)に対するスコア、および身体的健康と精神的健康をあらわす2つのサマリースコアを算出することができ、高齢者のQOL評価を短時間で行えます。
  • ※1:Quality Of Life(生活の質)。
    ※2:精神的・心理的理由で日常生活(の行動)が妨げられることがないかを表す指標
  • 出典:科学と工業、97(11)、335-339、2023

ヨーグルトの手作りで広がる楽しみの輪

自宅で簡単にできる「カスピ海乳酸菌」を使ったヨーグルト作り。「作る喜び」だけでなく、家族や友人との絆が深まったり、食への関心が高まったり、と楽しみの輪が広がっています。

ヨーグルトの手作りで広がる楽しみの輪のイメージ画像

まとめ

今回の試験では、「カスピ海乳酸菌」を使ったヨーグルト作りが、高齢者の心身に良い変化をもたらす可能性が示されました。日々の暮らしに取り入れることで、新たな楽しみや人とのつながりが増えるきっかけにもなります。身近なヨーグルト作りが、健康寿命を延ばす小さな一歩になるかもしれません。

関連の研究資料

田畑ら, (2023). ヨーグルトの手作り行動を活用したフレイル予防プログラムの開発: 健常高齢者を対象とした予備試験. 科学と工業, 97(11), 335-339.

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