02ねばり成分EPSを生み出す

ねばり成分EPSによって生まれる「食べやすさ」と免疫活性

機能2のイメージ画像

飲み込みやすい食感で高齢者も食べやすい

「カスピ海乳酸菌(クレモリス菌FC株)」入りのヨーグルトは、ほかにはない食感の特徴があります。代表的なものが、ねばりです。

ねばりの正体は「カスピ海乳酸菌」が作り出す菌体外多糖(以下、EPS)という物質。「カスピ海乳酸菌」がエサを食べたときに作られる物質です。これがネットワーク状に絡み合うことで、独特のねばりが生まれます。

ヨーグルトのイメージ画像
「カスピ乳酸菌」(クレモリス菌FC株)の顕微鏡画像

このねばりは食感にも影響を与えます。食感を測れる分析機器を使って、「カスピ海乳酸菌」で作ったヨーグルトと他の乳酸菌で作ったヨーグルトの違いを調べました。その結果「カスピ海乳酸菌」で作ったヨーグルトの方がやわらかく、口の中でまとまる力と弾力性が高いことが分かりました。

「カスピ海乳酸菌」で作ったヨーグルトと一般的なヨーグルトの弾力性比較画像

実際に、「カスピ海乳酸菌」で作ったヨーグルトと一般的なヨーグルトを、嚥下機能(えんげきのう:食べ物を咀嚼して飲み込み、胃に入るまでの一連の機能)が落ちている高齢者に食べ比べてもらったところ、「カスピ海乳酸菌」で作ったヨーグルトの方が、喉頭や気管に誤って入り込んでしまう人が少なかった、という結果が出ました。

◆嚥下障害患者30名での誤嚥、喉頭侵入事例の数

嚥下障害患者30名での誤嚥、喉頭侵入事例の数の表
  • 出典:科学と工業, 93(9), 311-315.2019

加齢や病気で嚥下機能が落ちている人は飲食物をうまく飲み込めず、のどにひっかかったり、気管に入ったりしやすいため、窒息や誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん:飲食物や唾液が誤って気管に入り、それが原因で肺に細菌が入ることで起こる肺炎)などのリスクが高くなります。飲食物の飲み込みやすさは、嚥下に問題を抱える人にとって重要な問題です。

EPSには、ねばりを生み出すだけではなく、水分を保つ働きもあります。ヨーグルトを冷蔵庫で保存していると、表面に水分が浮いてくることはありませんか?これはホエー(乳清)というもので、ヨーグルトから分離した水分です。
「カスピ海乳酸菌」で作ったヨーグルトにはEPSが含まれているため、一般的なヨーグルトと比べてホエーが少ないという特徴があります。さらさらした液体は誤嚥を起こしやすいため、分離した水分が少ないという点でも安心です。

ねばり成分EPSが腸を元気に。免疫調節作用も影響

乳酸菌にお腹の調子を整える働きがあることは広く知られていますが、最近では免疫機能を調節する働きがあることにも注目が集まっています。
免疫機能を整える働きは「カスピ海乳酸菌」そのものだけでなく、「カスピ海乳酸菌」から生まれるEPSにも認められています。

腸は、食べ物の消化と栄養素の吸収という重要な役割を持っている消化器官の一部です。また、体全体の免疫細胞の約7割が集まる、体内で最も大きい免疫器官でもあります。その腸にEPSが届くと、腸管にある免疫組織が活性化することが分かってきました。それによって、炎症の抑制、免疫力の向上など、全身の免疫に影響を及ぼす可能性があることが示されています。

ちなみに、EPSは食品成分として「多糖類」に分類されます。食品に含まれる多糖類で代表的なものに、海藻に含まれるフコイダンやアルギン酸、キノコに含まれるβ-グルカンがあります。これらは共通してネバネバした性質を持ち、身体の健康維持に役立つ働きを持っています。

まとめ

「カスピ海乳酸菌」で作ったヨーグルトは、EPSの働きで独特のねばりがあり、口の中でまとまりやすいという特徴があります。嚥下に問題のある高齢者に食べてもらったところ、一般的なヨーグルトより誤嚥が起こりにくい傾向があることがわかりました。また、「カスピ海乳酸菌」にもEPSにも、からだを守る大切な仕組み「免疫」と関わっており、その働きが全身の健康にもつながることが研究で示唆されています。

関連の研究資料

後藤ら, (2019). Lactococcus lactis subsp. cremoris FC で作製した発酵乳の物性と嚥下障害患者に対する適性. 科学と工業, 93(9), 311-315.

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