長寿地域由来の乳酸菌
「カスピ海乳酸菌」で毎日を健やかに

世界の長寿地域をルーツとする「カスピ海乳酸菌」
「カスピ海乳酸菌」のふるさとは、カスピ海と黒海に挟まれたコーカサス地方にある小さな国、ジョージア(旧グルジア)です。この地方では古くから酪農が盛んで、牛や羊、ヤギの乳を使った発酵乳が日常的に作られてきました。この発酵乳をルーツとする乳酸菌が「カスピ海乳酸菌」です。
かつてコーカサス地方は、南米エクアドルのビルカバンバ、パキスタンのフンザと並「世界三大長寿地域」の一つに数えられていました。特にコーカサス地方のジョージアは100歳以上の長寿者が多いことで知られていました。
1986年、長寿の研究を続けている家森幸男博士は、調査のために訪れたジョージアからヨーグルトを持ち帰りました。そのきっかけは、村でふるまわれた食事の後に悩まされた下痢だったとか。「なぜ同じものを食べた村人たちは平気なのか」と疑問を抱いた家森博士は、村人が日常的にたくさん食べるヨーグルトの免疫力に注目し、栄養分析のためにこのヨーグルトを日本に持ち帰りました。
その後、家森先生の協力のもと、フジッコによって良好な状態で植え継いだヨーグルトの中から、特異な乳酸菌株が取り出されました。これが「カスピ海乳酸菌(クレモリス菌FC 株)」です。
カスピ海乳酸菌が線虫の寿命を延長
「カスピ海乳酸菌」と長寿との関係を明らかにした興味深い研究があります。この研究で利用された線虫は、わずか1ミリという小さな体の中に神経系、筋肉、消化器官を持つ生き物です。寿命はおよそ3週間と短いものの、ヒトと同じように、運動能力が落ちていくという老化現象が見られます。こうした特徴から、老化の仕組みを調べるために広く用いられています。
その線虫に「カスピ海乳酸菌」をエサとして与えたところ、通常のエサである大腸菌を与えた線虫よりも寿命が約1.2倍も長くなりました。
また、「カスピ海乳酸菌」をエサとして与えた線虫は、活発に動き回る期間が長く、自発運動性(体力)や知覚神経機能の変化にも影響を与える可能性があることも明らかになりました。
さらに、その後の研究では、「カスピ海乳酸菌」には次のような働きがあり、それが線虫の寿命に影響を与えたのではないか、と考えられています。
①酸化ストレス※1から守る力が高まる
② 最終糖化産物(AGEs:酸化や老化の指標とされる物質)がたまるのを防ぐ
※1体内で酸化作用と抗酸化作用のバランスが崩れ、酸化が進んでいる状態。細胞や組織が酸化のダメージを受けると、徐々に機能が低下するなど、老化につながります。
◆「カスピ海乳酸菌」による線虫の寿命延長作用

◆「カスピ海乳酸菌」による線虫の寿命延長のメカニズム

- 出典:Microbiology Spectrum, 10(3), e00454-21, 2022
まとめ
線虫の研究から、「カスピ海乳酸菌」が寿命に関わる可能性が見えてきました。ヒトでも似た働きが期待されていますが、まだ詳しいことはわかっていません。今後の研究に注目しつつ、毎日を健やかに過ごすために、日々の食生活に「カスピ海乳酸菌」を取り入れてみてはいかがでしょうか。
関連の研究資料
Komura, T. et al. (2022). Prolonged lifespan, improved perception, and enhanced host defense of Caenorhabditis elegans by Lactococcus cremoris subsp. cremoris. Microbiology Spectrum, 10(3), e00454-21.
https://www.sciencedirect.com/org/science/article/pii/S2165049722004814