「健康と持続可能な食スタイル提案」
~Try!から始まるわくわくする毎日~

「知って得する 和食の知恵」~夏の巻~

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我が国は周囲を海に囲まれ、温暖な気候で春・夏・秋・冬と四季があり、そこで生まれる旬の食材や自然の恵みを受けて暮らすことで伝統的な食文化が生まれました。
また、人の一生を通しての儀式にまつわる食や年中行事にまつわる食などを通して人と人との絆を築いてきました。
日々の暮らしの知恵や思いが込められている伝統文化を知り、日常生活にも活かしていきましょう。

景気払いにうなぎ??

土用の丑の日にうなぎを食べる風習は、江戸時代の蘭学者でもある平賀源内がうなぎ屋さんの宣伝のために唱えたのが始まりとされています。そもそも土用とは立春、立夏、立秋、立冬の前の十八日間をさし、中でも最も暑い立秋前の十八日間の丑の日が「土用の丑の日」。暑さでバテないようにと、薬草のお風呂に入ったり、丑の日にちなんで『う』のつく食べ物ウリ、ウメボシ、うなぎなどを食べたのです。今も昔もうなぎは高価な食べ物なので、江戸時代にはうなぎのかば焼きのにおいだけでご飯をかき込むという話も。うなぎ屋が請求書を届けたところ、銭を板の間に投げだし、においだけなのだからお代も音だけでよかろうといったとか。
景気払いにうなぎ??

江戸時代の人気メニュー『雷豆腐』!!

戦国時代が終わり300年間も平和な時代が続いた江戸時代は、食文化も花開き、『百珍物』といわれる料理本がベストセラーになりました。中でも一番の人気は『豆腐百珍』で、その一つに雷豆腐というレシピがあります。水切りした豆腐をちょっと多めの熱したごま油で炒めて作るとき、バリバリという大きな音が出て、まるで雷が落ちたようだということから名付けられたといいます。「畑の肉」「畑のマグロ」などと呼ばれ、良質なタンパク質を多く含む大豆で作られた豆腐は、江戸時代も庶民の味方だったのでしょう!
江戸時代の人気メニュー『雷豆腐』!!

暑い季節は"冬瓜"で体の熱をとる!!

旬が夏なのに『冬瓜』と呼ばれるのは、皮が固いので保存性が高く、冬まで保存できるからといわれています。きゅうりを太くしたような形からも分かるようにウリ科の野菜で、カロリーが低く100g当たりわずか16キロカロリー。ちなみに世界一栄養価が低いといわれるきゅうりは100g当たり14キロカロリーです。そして、もう一つの夏野菜の代表といえばニガリウリ、こちらは苦味成分の「ククルビタシン」とビタミンCの多さが特徴。暑さのストレスを和らげるビタミンCがしっかりとれます。
暑い季節は冬瓜で体の熱をとる!!

七夕には、ぞろぞろとすするそうめんがご馳走!

七月七日は七夕祭りの日。短冊に願い事を書いて笹竹に結んで学問や手習いが上達しますようにと祈り、天の川や織り姫の紡ぐ糸に見立てたそうめんを食べるのが習わしです。我が国では稲作が中心で、小麦はその裏作として作られる程度でした。しかも、粉にひいて食べるのは大変手がかかることだったので、そうめんは長い間、高価で贅沢なものとされていました。めったに食べられないご馳走だったので、平安時代の宮中では十二単で着飾った女官たちも、七夕の日ばかりは恥も外聞もなく夢中でそうめんをすすったといいます。その時の音からそうめんは「ぞろ」とか「ぞろぞろ」と呼ばれたといいます。
七夕には、ぞろぞろとすするそうめんがご馳走!

花火とかき氷

庶民の夏の楽しみといえば、花火。夕涼みしながらの花火見物は夏の風物詩にもなっています。江戸時代には、隅田川や両国橋の辺りで盛大な花火大会が開催されたといいます。そしてもう一つの夏の風物詩といえば、かき氷。平安時代にはあの清少納言も『枕草子』に削った氷に甘葛(あまずら)をかけて食べると記しています。かき氷は夏氷とも呼ばれるため、725(なつごおり)との語呂合わせから、7月25日はかき氷の日として制定されています。
花火とかき氷

季節のおすすめレシピ

雷とうふ

雷とうふ

豆腐百珍あれこれ不思議メニュー

江戸時代井出版された百珍本には、レシピを100個そろえるため空想で作られたレシピもあります。たとえば、卵百珍の中の黄身返し卵(逆さ卵)は卵に針で穴を空け、糠味噌に三日漬けてから茹でると黄身が外側、白身が中になるというもの。鍋に水を入れてドジョウと豆腐を入れて火にかけると、熱さから逃れるためにドジョウが中にはいったドジョウ豆腐ができるというもの。もちろん、豆腐に入り込む前にドジョウは煮えてしまいますよ。

七夕ちらし

七夕ちらし

鮨、鮓、寿司、酸し

ユネスコの無形文化遺産に登録された『和食』。中でも、人気が高いのが「おすし」です。関西では「鮓」、関東では「鮨」の字を当てることが多いようですが、縁起がよいからと寿の文字を入れて「寿司」「寿し」などと書くこともあります。いずれも、なれ鮨のように発酵させて酸っぱくなったり、お酢を加えて酸っぱくなったものなので、酸っぱいめしという意味の「酸し」からきています。すしは、お祭りやお祝い事など特別な日のメニューというイメージがありますが、煮物や豆などのお惣菜のパックを利用すれば、短時間で食卓が華やぐちらし寿司が作れます。

きんとき豆のかき氷

きんとき豆のかき氷

煮豆と組み合わせれば、アジアンかき氷

ふわっとした口溶けで人気の天然氷のかき氷。氷室に保管された氷は時間をかけてゆっくり固まるため透明感があり、溶けにくいのが特徴です。最近は真夏だけでなく、年中かき氷を提供するお店も出てきています。フルーツや白玉、白花豆を添えてコンデンスミルクをかけたベトナム風かき氷の『チェー』やかき氷に小豆、フルーツ、バニラアイスをのせてきな粉をかけた韓国の『パッピンス』なども人気。カスピ海ヨーグルトを凍らせて作ったかき氷に煮豆を添えれば、真夏の健康管理にも役立つヘルシーかき氷が簡単に作れます。

監修:医学博士・管理栄養士 本多京子 先生

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